誰しも子供時代に一度や二度、家出を考えたことがあるでしょう。でもまず始めにぶち当たる壁が、どこへ行ったらいいの? ということのはず。ところがこのクローディアは、大都会ニューヨークのメトロポリタン美術館へ”家出に行く”のです! しかも兄弟の中から、お金をたくさん貯めている弟を相棒に厳選する冷静さと計画性を持って。物語は、前半の美術館での”生活”から、後半の天使の像の謎解きへと、思わぬ展開を見せ、息もつかせぬ面白さです。当初読者は、なぜ手紙の形が差し挟まれて、夫人がこんなにもサクソンバーグ弁護士にこだわるのか違和感を覚えますが、最後に全てが1本の糸にまとめ上げられるあたり、「やられた〜!」と作者の力量に唸ってしまいます。クローディアは、自分は家族にもっと認めてもらえるだけの価値がある、という想いで家出しますが、そういう気持ちが痛いほど理解できる、思春期の入り口の女の子達に是非、読んで欲しい1冊です。