ニューヨークのビルの屋上にある給水塔の話。
2002年刊行。
普段の生活で、なんとなく不思議に思っている「風景の一部」を、興味を持って調べてみたら意外と面白いことがわかった。
100年前の人々の暮らし。ニューヨークの歴史。高層建築が多い理由や、高い建物の各部屋にまんべんなく水をくばる設備の工夫など、段々と「給水塔」の全貌が明らかになっていく。
地味な存在だが、無いと困る。
しかし、敢えて良く知ろうとも思わなかった。
そんな存在が、あちこちにあるのだろうと思った。
高い建物で作業する人達へ取材をしている。やはり最初はひどく恐ろしく感じるようだ。しかし、慣れてくると最高の景色を見ながら仕事をしている。自分の仕事が人々に大いに役に立っていると、作業員の一人一人がほこりに思っている様子が伝わって来る。
日常生活を支えるいろんな者や、それを提供してくれる人によって、私たちは快適な生活を実現できていることがよくわかる。
ひとつモノを知ると、今までなんとなく見ていた「風景」が一変した。世の中はありがたいものでいっぱいだ。