ノンフィクション作品のようです。
映画『ひまわり』を思い出しました。
第二次世界大戦終了後、朝鮮半島の港から日本へ家族で引き揚げようとしていた男性が、スパイの嫌疑をかけられて、妻子と引き裂かれ、ロシアへ連行・7年間シベリアの収容所に入れられ、その後も日本へ帰ることを許されませんでした。
この男性と偶然出会い、互いの身の上を語り合い、帰国を諦めた男性の無実を信じ結婚したのがクラウディアです。
37年の結婚生活は、再逮捕に脅え、監視や嫌疑の眼差しを常に意識しつつも、二人の切望していた「家庭」を作った誠実な人生でした。
男性の横顔に、人生の心残りをくみ取ったクラウディアは、国交回復した日本へ向かう友人に夫の書いた手紙を託し彼の家族を捜します。そして...。
なんて、徳の高い女性なのだろうと驚きました。
目の前の幸せを失っても愛する人の幸せを願う心の美しさに感動しました。
「人の悲しみの上に、自分の幸せを築くことはできないわ」という切なく悲しいクラウディアの言葉。
別れの品物に添えた一通の詩が最終ページに出てきますが、涙なくしては読めません。
戦争という愚かな行為が、ここでも生き残ったとはいえ誠実な人間の誠実な心を傷つけたのです。
戦争をテーマとしたお話会に読んでみたいと思います。