町に住んでいるいっぴきのねこのお話です。
商店街にあるろくじぞうを家にして、タバコ屋のおばあさんには、ミーヤと呼ばれ、おじさんからはにゃんきちと呼ばれ、本当の名前はまた別にあり、この街に住んでいるみんなとは顔見知り。決まった時間に決まった場所を歩いて、何でもお見通し。そんなある日のこと、道に迷った一匹の犬と出会います。
表紙、じっとこちらを見ている猫の目は、なんでもわかっていると言っているようで、ドキッとさせられます。
確かに、ねこって、人の心まで判っているそんな存在のような気がします。ついつい、話しかけてしまう、それを聞いてくれている、わかってくれている、そのことをふまえたお話で、社会の中での生き方まで教えてくれる深い意味もあるような気がしました。
くっきり、しっかりした絵の描き方で、ねこらしい習性がよく現れていました。裏表紙の後ろ姿も、ナイスです。