少し前に、中国の昔話絵本で不思議な“絵筆”で描いたものが全部本物になる。というお話を読みましたが、
これも似たような発想のお話でした。
面白いのは、たこきちの墨で描かれたものは少しの間だけ現実の世界で形を保てると、いうところです。
例えば同じ正義のミカタシリーズでも、仮面ライダーは好きな時に変身して好きなだけ戦えるけど、
ウルトラマンは「地上で3分間しかその姿を保てない」という設定があり、
子どもの頃はその決められた時間内で、ウルトラマンがどう戦うのか、ドキドキした覚えがあります。
というわけで、この作品の魅力もしばらくの間しか形を保てないたこきちの墨で描いたものを使って、
お坊さんがたこきちの家族をさらった「おおだこ」とどう戦ったか。が、見ものでした。
この戦い方のシーンなんかは“三枚のおふだ”的な展開でしたが、
それはそれで工藤さんの作風の面白さがありました。
メリハリがあって面白いのですが、何となくもう一つ何かが足りないような、
気持ちインパクトに欠けるような……。そんな気がする1冊でした。
4,5歳くらいから小学校低学年くらいのお子さんたちにお薦めします。