トーマとお母さんは、小さな畑でできた野菜を売って暮らしています。
トーマとお母さんは、いつもいっしょ。
畑仕事をするときも街の市場に野菜を売りに行くときも、いつでもどこでもいっしょです。
そんなある日、お母さんが高い熱を出して寝込んでしまいました。
野菜を売ったお金で医者に診てもらいたいけれど、畑にはメロンが一つしかありません。
それならと、薬作りが得意な魔女リトラにお願いしようと、彼女の好物であるメロンを持って、トーマは一人で山に向かいました。
トーマは、メロンを差し出してリトラにお願いします。
でも、リトラは断ります。
なぜならリトラは、人が困ったり悲しんだりするのを見るのが大好きだからです。
文章だけに注目すると、リトラは確かにいじわるな魔女です。
でも、描かれている絵に注目すると、
そうとも言い切れない。
と思えてくるのです。
だって、トーマとお母さんを空の上から見つめているリトラが、こちらのページやあちらのページに見つけることができるからです。
小さなお子さんから大人まで楽しめる、とても魅力的な絵本です。