戦火の中のドイツ人家族が、ソ連兵や連合軍のみならずドイツ兵からも逃れながら自由を目指すというテーマが凄いと思います。
自国を批判する母と兄弟が戦火を逃れることができたのは、ゾウのおかげ。
途中で一緒になった敵国の兵士、最後にともに逃走する聖歌隊の子どもたち、それに終わらぬ登場者を描きながら、簡潔でスケールが大きいのは、モーパーゴならではの表現力なのだと思います。
解放されてから離れ離れになった兵士と再会して結婚したエリザベート、サーカスで再開したゾウのマレーネ、次々と感動があふれ出てきました。
物語の進行は、年老いたエリザベートが介護施設の看護師とその息子に自分のことを語る形で進みます。
この設定も心にくいばかりに、現代にマッチしていると思いました。