グリム童話『七わのカラス』を二人の作品で鑑賞しました。
グリムの話自体は怖い内容なのですが、ホフマンの絵には少しホッとしました。
この話の残酷さをストレートに描くのではなく、現代風にアレンジしています。
兄弟が我先にと聖水を汲みに走って行った泉で、大事な壺を落としてしまったのですが、工夫すれば何となく取れそうなのです。
成長した娘の服装は現代風にアレンジされているからか、近くにいる今風の女の子のようにも思えます。
兄たちを助けにと向かった地の果てですが、ハイキングにでもでかけるような雰囲気です。
カラスになった兄たちが閉じ込められたガラスの山は、ファンタジックなガラスドームとして描かれています。
ここまで書くと、ホフマンの絵を批判しているようですが、このアレンジは決していやではありません。
話の内容が不気味さを秘めているのですから、せめてあっけらかんと読んで、必要以上に子どもたちを怖がらせてはいけない。
多分ホフマンはそう思ったのです。
この絵本では、お兄さんたちの魔法が解けたことでホッとする部分と、最後はハッピーエンドで、子どもたちを怖さから解放してあげるような仕組みが感じられました。
こちらの方が、子どもたちへの読み聞かせに向いているように思います。