2008年刊行。フィンランドの各地を取材して、自然環境、都市部の生活、寒冷地の暮らし(住居の工夫、食事など)、教育や社会保障、産業や宗教などを紹介する学習絵本。巻末には歴史や国のあらましをまとめている。
「ムーミン」シリーズで有名な国。ムーミンの世界に出てくる「コケモモのジャム」「コーヒー」「凍った海」「雪で埋もれる村」などが、現実の世界に存在している。いや、現実がそうだから、その様子を物語の中に書き込んだのだった。
高い税金の代わりに、高齢者の福祉や教育などに素晴らしい仕組みが導入されている。少数民族も、自分たちの文化をしっかり未来に受け継いでいけるように、自分たちの言語や文化を学ぶ機会がある。
定年退職後の人は、自分たちの家で自力で生活できるように、困ったときにはヘルパーや看護師・医師などが来て助けてくれる制度が発達しているという。
身内に頼り切りにしていたら、若い人は高齢者の世話で自分の人生の目的や夢がかなえられず、高齢者も罪悪感にさいなまれるのではないだろうか。そもそも「お世話をしてくれる身内」が必ずいるとは限らない。
具体的にどのように「制度が発達」しているかは書かれていないが、介護で将来の夢をあきらめなければならなくなった人を知っているので、この本に載っている写真のように、高齢になっても一緒に物事を楽しめる仲間があって、困ったときには国の制度を遠慮なく利用して快適に最後まで過ごせるようになれればいいなと思う。
税金の使い方や、社会福祉、環境保全、住宅について考えさせられる一冊だった。
子ども向けの本だが、大人も教えられることが多い。
むしろ、大人も積極的に読んでみることをお勧めする。