戦争の悲惨さ、原爆の怖さを伝える絵本をいろいろ見てきました。
それぞれに平和への強いメッセージがあって、子どもたちに伝えたいという思いと、すでに戦争を知らずに育った自分にしても忘れてはいけないという思いがあって、なんとなく戦争がテーマになっている本は手にすることが多い私です。
ただ丸木さんの『おきなわ島のこえ』を読んでから、丸木さんの描く戦争の悲惨さのおどろおどろしさに、丸木さんの絵本を手に取るには少し躊躇しました。
が…。
なぜか、この絵本にかんしていえば強烈なインパクトは感じずにすみました。
それは多分原爆の悲惨さを伝えるとともに、生きようとする人間の強さ、たくましさにポイントを置いているからか、絵に優しさ、タナトスと対極にあるものとしてのエロスのようなものも感じたのです。
朝食時に原爆を体験したみいちゃんの家族。
大惨事の中で、お母さんの生きようとするたくましさが素晴らしい。
みいちゃんが4日間もお箸を手にしたままだったこと、そして助かっても7歳のままで成長が止まってしまったこと、書かれていること自体は厳しい話です。
「ピカは、ひとがおとさにゃ、おちてこん」というラストも強いメッセージとしてうけとりました。
子どもを怖がらせるだけではなく、丸木さんの伝えたいメッセージがしみ込んでくる絵本です。