「そして いつのまにか きみじしんが トゲだらけになった」
ストレスの多い現代社会。
誰もが、トゲだらけになり、自分を守っています。
表紙のかわいい女の子には、トゲなんてありません。
「でも いじわるなことを されたり
心ないコトバを なげられたりして」、
トゲだらけのサボテンになってしまいます。
そして、「がまんすることを おぼえ」、
泣くことさえも我慢して、砂漠でも生きていけるようになります。
でも、そんなサボテンを、ずっと見つめる「ぼく」がいます。
潤いの「雨」をふらせ、
サボテンに「花」をさかせることができる「ぼく」。
そんな「ぼく」だって、「じょうずに雨をふらす」ことはできません。
「ぼく」自身、乾いた世の中で必死に生きています。
それでも、サボテンを「おうえん」し、
ずっと「みかた」だと励ます「ぼく」。
8歳の娘と一緒に読みながら、
自分は、娘に優しい「雨」をふらせているだろうか、
「心ないコトバ」を投げつけていたのではないかと思い、
隣にいる娘の顔をのぞき込むと、
頬にひとすじ、涙が流れていました。
私の心も潤い、ふるえました。
無味乾燥な現代社会を生きている多くの子どもたち。
そして、泣くことさえ奪われてしまった、
多くの大人たちに読んで欲しい一冊です。
ちなみに、
堅いトゲだらけのサボテンに十分な水を与え、
優しい気持ちで育てると、
だんだんトゲが柔らかくなります。
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