この絵本の文(実際には詩ですが)を書いた安里有生(あさとゆうき)くんは2007年生まれの小学生です。
沖縄で生まれ、お父さんに仕事の関係で与那国島に移りました。
この詩は2013年に沖縄県平和祈念館が募集した「児童・生徒の平和メッセージ」で、小学生低学年・詩の部門で最優秀賞を受賞したものです。
絵を描いたのは、独特のタッチと軽快な大阪弁で人気の高い長谷川義史さん。
ダジャレの絵本もたくさん描いていますし、『ぼくがラーメンたべてるとき』といったような考えさせられる絵本も描いています。
この絵本を描くにあたって、長谷川さんは実際に与那国島まで行って安里くんや安里くんの家族に会っています。
与那国島の風景や与那国馬のことも描かれていますが、実際に見たそのままなのではないかと思います。
平和についての強いメッセージ性のある絵本ですが、実は与那国島の風景や動物、人々の姿が生き生きと描かれているからこそ、メッセージが生きているように思います。
「平和」といえば、多くの人がそれを願います。
では、具体的にどのような状態を「平和」というのか、そのあたりを安里くんはさりげなく書いています。
だから、伝わってくるといえます。
安里くんが思う「平和」は、「おともだちとなかよし」だし、「かぞくが、げんき」だけではありません。
「ねこがわらう」のも「平和」だし、「よなぐにうまが、ヒヒーンとなく」のも「平和」なのです。
だからこそ、そんな「平和」がずっと続けばいいと思うし、「ぼくも、ぼくのできることからがんばるよ」とうたえるのです。
私たちは「平和」の意味を難しく考えすぎることがあります。
おとなだから、難しい言葉で説明しようとします。
おとなだから、さもわかったふりをします。
でも、安里くんはそんな重荷をひとつも持っていません。
自分の目の前に広がる風景を大事にしたいと願っているだけです。
タイトルはストレートですが、それでいいのではないでしょうか。