このはなしはおとぎばなしではありません。
最初にそう書かれていて、宮沢賢治の強い思いを感じました。
確かに、面白い本でもありませんし、オチがあるわけでもありません。
この本は自己犠牲を享受する竜のお話。
毒を持ち、怖いもののない、誰もがおそれる竜が、襲うのを止め、自分の皮を剥ぎ取られてもがまんする、虫に喰われてもがまんする、そして自分は死んじゃった…という話です。
死んだ竜はお釈迦様になりました。
これは悟りであって幸せとはかなり異質のことかと思います。
結論づけられているわけではなく、私は宮沢賢治の問題提起ととりました。
考える材料にはなりますが、子どもにとっても親にとっても安易な話ではないと思います。
戸田さんの絵も主張するのではなく、問題提起に参加しているように思いました。