「いじめ」は、いじめ、いじめられている人だけの問題ではないと伝えている絵本です。まわりの人は?見ている人は?先生は?親は?
「いじめはいけないこと」「わたしはそんなことをしない」「わたしは関係ない」と、おそらく、ほとんどの人がそう思っているでしょう。でも、「本当にそうなのか?」「それでいいのか?」と、この絵本は問うています。本当に「あなた」には関係ないことなのか?と。
絵本にしては桁外れの厚さと重さに、作者、編集者、出版社など、この絵本の出版に関わった人たちの強い思いを感じました。出版から20年たっていますが、ちっとも古びていない作品です。それは絵本として素晴らしいことです。ものすごく考えさせられるし、主人公の最後の行動に感動もしました。でも、古びていないことが逆に かなしいと思いました。20年たって、学校はちっとも変っていないのです。
「あんな時代もあったね」「この絵本の状況は今とは違うね」と明るい顔で振り返れる日がくることを願います。