海って太陽や月に照らされてキラキラと美しい表情を見せることもあれば、何もかも飲み込みそうな恐ろしい表情を見せることもあります。
そんな海に命を奪われた父を、いつまでも追い続ける青年太一を描いたこの作品。
この絵本も海の様々な表情を見事に描いています。
父を海で亡くしても、自分も同じ漁師になるという太一。
物静かな中にも、しっかりとした力強さを感じます。
修行を重ね独り立ちする太一は、父が亡くなった海へもぐります。
父の命を奪ったであろう瀬の主との戦いには息をのみます。
その海で父を感じ、海のいのちを感じた太一は、そこで村一番のもぐり漁師の名を父から本当の意味で受け継いだのだろうと思いました。