以前奥田瑛二さんの絵で読んでいたのですが、
いせひでこさんが描く世界はやはり、その空気感が素敵です。
3月11日にに出版されたという事には、何か縁があるのでしょうか。
おさびし山の一本の桜の木に、通りがかりの旅人がいろいろ尋ねます。
散った花の行き先、そして、生命はめぐりめぐること。
ところが旅人がまた旅に出て、戻ってくると、
桜の木は村人たちによって風車になっていたのです。
悲しむ旅人を前に、桜の木は光となって慰めます。
そしてまた、旅人もその一生を終え…。
その次の光景はまさしく、「生命はめぐりめぐる」でしょうか。
哲学的な展開だけに、小学校高学年以上くらいでないと、
なかなか理解できない光景かもしれません。
いせひでこさんの絵は、この情景に溶け合って、美しいです。
旅人が意外な姿で描かれているのも、新解釈でしょうか。
男の子が持っているぬいぐるみも、意味がありそうですね。