前作『風神秘抄』からずいぶん経っていて、キャラクターは覚えていてもストーリーが抜けていてアレだったが、しっかりした文章、筋立ては、心地の良い「本の世界」へ誘ってくれる。
でもやっぱり前作の大筋を押さえてから読むのが良いだろう。前作の業(ごう)が解決されるストーリーになっているので。
頼朝が伊豆に流された頃を、荻原さんらしい筆致で描き出す。成長ファンタジーになっていて、心象風景がいわゆるファンタジー部分だから地味な感じもしなくもない。
こういうお話も大好きだが、一見冒険ファンタジー風を期待するつくりだけに、山の部分がけっこうラストに来て、ページ数も少ないことに寂しいような不足感はある。それなのにエピソードが盛大なので、前作と二作でひとつのお話なのかなぁ。再読したくなった。
しかし、ま、「RDG」の作者ならでは、という気もした^^
勾玉や風神、荻原さんの和ファンタジーが好きなら読んで損はなし。