あの昭和の、レトロ銭湯独特の雰囲気を余すところなく伝えてくれる一冊。
これ、今の子どもたちにわかるかな?
わからなくても、なんだか不思議な懐かしさを感じるかもしれない。
自分も子どもの時、どう考えてもその時代に生きていないのに、昔の雰囲気のものに対して不思議な懐かしさを感じた経験があります。
だからきっと、子どもたちも、銭湯に一回も行ったことがなくても、楽しめると思います。
絵本は絵と、文章(ことば)と、両方の楽しみがありますが、この本はどっちも素晴らしい!
絵は、いろんな小道具や洒落があちこちにあるので、まるで宝探しのような面白さがあります。銭湯の壁に貼ってある張り紙一つとっても、「入浴料 やさい50円、すし100円」などと、つっこみどころ満載。「え〜、どうしてぇ〜!?」「これなあに?」「このひと変!」などと、ページをめくるたびにつっこみまくりで、忙しい読み聞かせタイムになるのではないでしょうか?
もちろん、一人でじっくり読んでも楽しめます。
江戸っ子のお寿司たちが、しょうゆの足湯に入るシーンが、落語的。
「くぅー、しょうゆが しみるぜ」 名台詞です。よく出てきなな、どのネタ?
その後、どうなったのか気になって仕方がないのが、食パンにお餅がひっついた件。
語られていないが、数々の面倒くさい問題が持ち上がっていそう…
しかし、下町の人たちなので、大概のことは、謝ったら水に流してくれそう。
どうなんだろう…
キャラクターがたっているので、主人公たち以外の人にフォーカスして、あれこれ想像してみる楽しさもあり、いろんな楽しみ方ができる絵本です。
そして、これを読んだ後は、銭湯に行ってみたくなりますね。ぜひ、本物の銭湯にも行ってみてください。