少し地味な作品かも知れませんが、子どもたちに昔の農村を伝えたい絵本です。
農業は自然に抗えない作業ですが、村という仕組みが共同体であったこと、自然に対して人はどうしていたのか、凶作の続いた時の生活…、様々に教えてくれます。
西村繁男さんは非常に「はらっぱ」や「ぼくらの地図旅行」など、風景、家屋を克明で現実的に描くので好きな絵本画家ですが、農家の姿、田圃がきれいに区画されていないところ、今では創造できない昔の話かと思います。
苦しみも、収穫の楽しさも村落では共有します。家族の結びつきの原型があります。
「きつねのよめいり」。
この言葉の響きも懐かしい。
様々な伝承があって、生活の中に座を占めていました。
読んでいながら、自分で納得してしまいました。