一言でいうと、「ドラマのような絵本」。
絵本なのに、映像をみているような、躍動感が印象的です。5歳の娘も目を釘付けにして見入ってました。
絵本全体にわたって、紙、布、針金等、様々なツールで仕上げられています。光の明暗なども、実際にライトが使われているようです。テレビの映像をみているような錯覚さえも感じてしまいます。
「擬人化された子猫の兄弟が、朝の雨の中にレインコートを着込んで、おもしろいことを探しに出かけていく」という設定からして、作者のペク・ヒナさん(韓国人)の心温な人柄がうかがえます。(普通の家庭なら、朝起きたら着替えて歯を磨かせますよね)
そして、兄弟がなんと、小さな「雲の切れ端」を見つけ、うちにもって帰ると、今度はママが、なんとなんと、パンにまぜて焼いてくれる、という・・!この猫のお母さんも、実に話がわかるおかたです。そして、「遅刻だ〜、遅れる!」と叫びながら朝ごはんを食べずに出かけていく猫お父さん。(このお父さんの慌てぶりが、見開き2ページにわたって描かれています。この姿は万国共通かあ、と笑ってしまいます)
子猫たちの冒険のみならず、父親への優しさも、盛り込まれています。「お父さんは毎日大変な思いをして会社へ行ってるんだよ」というメッセージも、読んでる子供たちにきっと伝わります。
読んだ後は、「さて明日は、わが子と何して遊ぼう?」と今日一日の子育ての疲れがふっとんでしまうような、そんな本だ、と思いました。