できれば自分の子どもには読ませたくない本だと思いました。
死を扱う絵本はたくさんありますが、この絵本はどこか「なんか感じ悪いよね」という違和感を覚えます。
大切な人がいなくなる、ということの重大さをあまりにも軽々しく描きすぎているからでしょうか。
ママがおばけにならなくても、子どもを大切に思う気持ちは伝えられるのでは。
いたずらにママがいなくなることの恐怖心をあおって、ママはどこにも行かないで、という気持ちを子どもに植え付けてしまうような気がします。
本当に、ママが子どものことを大切に思い、子どもにとって伝えなければいけない何かがあっておばけになるとすれば、それは「さよなら」という言葉ではないでしょうか。
突然訪れる死が、不幸にも現実のものとなってしまった子も世の中にはたくさんいます。
もう会えないことが信じられない、もっと一緒にいたかった、楽しかったときの思い出がめぐり、けんかしたり悪いことをしたことを後悔し、いろんな気持ちが湧いてきて整理がつかない、受け止められない。
そうした子どもたちのやりきれない思いは、ここでは全く掬い取られていないように思います。
ここで扱われている「死」は、あまりにも軽く、その軽さが大切な人の死や、そのさなかにめぐる様々な思いを軽んじているような気がします。
24時間テレビにあるようなただ感動を誘うだけの演出のような既視感を感じ、同時に不快感を拭いきれませんでした。
それが感動のポピュリズムだとすれば、そういうものなのかもしれませんが。