新聞週間が10月15日から昨日21日まであった。
最近新聞を読まない人が増えているとよく聞く。
テレビやインターネットなど情報を得る手段が多様化し、
その即時性など新聞はもはや絶対ではない。
それに新聞が正義だとは誰も信じていない。
戦時中の報道規制をいうまでもなく、平和時であって伝えられることは
すべてではないし、偏向している。
今度新聞がどのようになっていくのか、誰もわからないのではないのだろうか。
この絵本、『おばあさんのしんぶん』は、
2014年の新聞配達エッセーコンテストで最優秀賞になった
岩國哲人(てつんど)さんのエッセーが原作となっている。
それを絵本作家松本春野さんが絵本として仕上げた一冊だ。
岩國さんがこのエッセーを書いたのは78歳の時。
少年の日の新聞配達の日々を綴った。
戦争で早くに父を亡くした岩國少年はどうしても新聞を読みたいと
新聞配達のアルバイトを始める。
そんな少年の気持ちを察してか、読み終わった新聞を読んでもいいという
おじいさんがいた。
おじいさんが亡くなったあとは、おばあさんが少年にそれを許してくれる。
そのおばあさんが亡くなった時、実はおばあさんは字が読めなかったことを知る。
おばあさんは岩國少年のために新聞を購読し続けてくれていたのだ。
のちにこの岩國少年は出雲市長や衆議院議員となる。
そして、このエッセーで少年の頃の感謝を綴る。
この絵本の最後に岩國さんはこう記している。
「生きる糧として、人生の指針として、いつも傍らにあった新聞」と。
今もそうであるか、新聞は問われていないか。
岩國哲人さんは2023年10月6日、87歳で逝去された。