幻想的な表紙が印象的です。
そして、題名もミステリアスです。
裏表、どうやら、これがキーワードのようです。
もう何万年も生き続けてきたウラオモテヤマネコは、裏と表の世界を行き来しているのです。
ある日、表の世界で出会った美しい瞳の少女から、裏の世界の話をせがまれます。
ウラオモテヤマネコに特別な感情が生まれ、少女を裏の世界に案内するのですが、
それが思わぬ結果を招きます。
それが何を意味するのか、巻末の手紙が語ります。
「イリオモテヤマネコ 拝」
そう、特別天然記念物、絶滅の危機があるイリオモテヤマネコをモチーフにされた作品なのですね。
人間に、決して他意があったわけではなく、気づかぬまま、
その生態系を乱していた事実をそっと教えてくれるように感じます。
ウラオモテヤマネコという造形は実に見事だと思いました。
小学生から大人まで、きっと感じ取れる作品だと思います。