読後感スッキリの作品でした。
ペンの力が武力を見事にひれ伏せさせました。
空と見分けがつかないように空色に塗った自家製飛行機で、だれにも邪魔されずに鳥を眺める、そらいろ男爵。
彼にとってこの上ない幸せな時間だったことでしょう。
ところが、戦争が始まり、男爵も戦争に行かなければならなくなりました。
飛行機から落とす砲弾として選んだのは、辞書でした。
重くて当たったら、ガツーンといたいもの、ということで選んだのでした。
この砲弾選びと、男爵の考える相手へのダメージ考に、男爵の人柄が窺えます。
でも、戦争は続き、男爵の砲弾も最後の一冊「戦争と平和」(ロシアの小説)となり、それを相手めがけ落とし、それを拾った敵の隊長が、閉じこもり読み始め、戦いの命令はストップしたのです。
これで気をよくした男爵は、分厚い本は使いきりましたが、面白い本ならまだあるので、どんどん砲弾として落としました。
戦争は、長引き、男爵の書斎に残っているお気にの本を狙いを定めて、投下し続けます。
その結果、敵の兵士は、本の面白さのため、・・・・・・。
激しいぶつかり合いがある度に、そらいろ男爵がやって来て、たちまち戦いを止めてしまい、男爵は落とし方に工夫を始めます。
本好きの方なら、ここでニヤリとされるはずです。
この作戦から、さらなる名案を思い付き戦争を止めさせるためとった最後の作戦は、・・・・・・。
最後に、男爵に勲章を授けているのが、敵味方両将軍らしいことからも、空色男爵の敵は、「戦争」そのものだったということがとてもよく伝わってくるお話でした。
高学年から理解できる作品かと思います。