動物達の間での裁判という形態をとりながら、実は、自然界に勝手に踏み込み、手を加えてしまう人間を痛烈に批判した作品です。
ただ、あべ弘士さんの絵がダイナミックで、あまり緊迫感を持たないせいか、お説教くささは感じられませんし、じっくりと眺めたくなるような絵本にもなっています。
裁判の結論は、我々への問題提起でしょうか?
私としては、何でもかんでも人間のせいだという結末にもっていってしまうのは、あまり好きではないのですが、多分、「これを読んで、みんなも自然界のことを考えてみて欲しい。その上で我々はどう係わっていったらいいのか考えてみて欲しい」という作者のメッセージがあるのでしょう。
ただ、メッセージをむき出しにするのではなく、昔話のように、物語の中にうまくくるんでしまうやり方だと、もっとお話自体を楽しめたのにと少し残念でした。
物語性を好む我が家の子どもたちの反応は、今一つでした。