南方熊楠の伝記を読んだ後、「粘菌」の事を知りたくて手に取った一冊。
子ども向けの本だと思って、侮ってはいけない!
研究者の真摯な態度と、粘菌に対する深い愛情と洞察力が感じられる、清々しい作品です。
生物の分類や、細胞の仕組みなどが、一目でわかるカラフルなイラスト。
理系の人の、独特の語り口が、読んでいるだけで頭が良くなったような錯覚を楽しめる文章です。
この本をゆっくり、じっくり読んでいると、粘菌の面白い個性がたくさん発見できます。一番面白かったのは、粘菌は好き嫌いがはっきりしていてること。
バニラの匂いは嫌いとか、電気のマイナス極が好きとか、変な性格を連想させます。粘菌を毎日世話している研究者の、苦労が垣間見えて、微笑ましいです。
あれこれ、好き嫌いをして、はっきりとダメなものはダメと言い、嫌なものからはさっさと逃げる…本当に、人間にそっくりな生き物で、面白かったです。
難しい言葉も出てくるし、わりと頭を使って読み進めていく感じがあり、
ちょっとした脳のトレーニングになりました。
数学と、生物の授業を一緒に受けているような、そんな絵本。
最後に関東地方のJRの鉄道路線図を、粘菌に描かせたりして、遊び心もいっぱい。ユーモアたっぷりの作者は、イグノーベル賞を2回受賞したという。
ユニークな人でした。
小学校中級から、となっていますが、大人が読んでも十分面白い本です。
これが読めて、理解できるなら、小学校中級って、相当頭がいいのだなあ〜と思います。変な生き物なので、興味をもって読めると思います。
(あ、私が、あまりに出来がわるいだけかも…)