パンやのおいしい香りに誘われて、からす達が集まりはじめ、
やがて大騒動に…。パンの数も、そしてからすの数も半端じゃない!
文句なくおもしろく、そして私にとって忘れられない絵本、です。
当時私は病気の治療のために入院していました。長男は4歳でした。
手術も成功し、久しぶりに家に帰ってきてびっくり。
なんと、字を読めない長男がこの本をそらでスラスラ読んでくれたのです。
おばあちゃんに毎日この本を読んで、とリクエストしていたそう。
私がいなくて寂しい時に、息子はこの本を心の拠り所にしていたようです。
当時のことを思い出すと、せつなくなってしまう私です。
長男は絵本を憶えていますが、コトバはすっかり忘れてしまっています。
でも、私にはしっかり残っています。
舌足らずで、「かざぐるま」と言えずに「かぁぐるま」と言っていた
まだあどけない声とか、からすの群集を前にアナウンスするりりしい声、とか。
この本を開くと、当時の息子の声が聞こえてくるのです。