シニカルな戦争批判の絵本です。
思想家ウンベルト・エーコが辛辣に核爆弾の驚異と、核保有の狂気を揶揄しています。
でも、まさか現実味を持つとは思いませんでした。
ロシアが核兵器の使用を口にしたことで、緊張感が高まった今、この絵本の存在感が改めて大きいものになったと思います。
原子爆弾を集めると戦争がしたくなるのでしょうか。
自分たちの体を形成する原子が、核爆弾の中の起爆剤となると、世界を破滅させるのでしょうか。
痛烈な戦争批判と受け取りました。
話の中では、核爆弾から原子が逃げ出したから、戦争は起きませんでした。
戦争を起こせず、支配者になれなかった将軍は、ただの人になりました。
ある意味狂気に満ちたお話です。
絵もとってもアナーキーな感じがしました。
でも、戦争は起こってしまいました。
ひょっとしたら、一発の核爆弾が世界の破滅の始まりかもしれません。
将軍が核爆弾の発射ボタンを押さないことを祈るしかありません。
この警告のような絵本を、若者は受け止めきれるでしょうか。