小学生のころ、国語の時間にこの「雨ニモマケズ」を必死に暗唱できるよう覚えた記憶があります。
その頃は、言葉の持つ意味は先生や辞書が教えてくれるものひとつでなんだかおもしろい言葉だなと思っていました。
それから歳月や経験を重ねて、本を通してもう一度出会った時まったく違ってみえました。
1ページに少しの言葉と、言葉の世界を広げてくれる柚木沙弥郎さんの絵が描かれていて賢治の想いがすっと入ってきました。
賢治のことばがその時の時代や、自分を映す鏡のように思え、じわーっと広がりました。
娘や息子とも読んだのですが、子どもたちは「ソウイウモノニ ワタシハナリタイ」の響きが気にいったのか声を揃えてよんでいました。次に読むときはまた違った風に届くのかなと思いながら余韻にひたりました。
賢治が、手帖にそっと書いた想いが伝わってくる本です。