本が好きで、図書館が好きで、本の力、図書館の役割をよく知っている人が書かれた作品だと思いました。
館内での読み聞かせ会、リクエスト制度、レファレンスサービス、返却ポストのことなどもさりげなく出てきます。本の素晴らしさ、図書館の役割を子どもたちに伝えたいという作者の想いが感じられました。本は喜びや生きる力を与えてくれるし、その本は公共の図書館で、誰でもが自由に利用することができるのです。「これ読んでみない?」とその子にあった本を何気なく薦める司書の存在も素敵です。
困難な状況にいる春菜が、友達、先生、図書館司書、本との関わりの中で成長していく様子が描かれていました。お話の始まりのときには、図書館利用初心者の春菜でしたが、終わる時には「ここの本、ぜーんぶ読むつもり」と宣言するほどの本好きに・・・。
その他、友達の佐久間さんの強さ、勉強が遅れている子どもへ配慮して特別授業をしてくれる先生、しんどい中で頑張って自立して娘と生きていこうとする母の姿などが印象的でした。
巻末には春菜が読んだ本が一覧になっています。これはきっと、作者から読者への「あなたも読んでみてね〜」というメッセージでもあるのでしょう。どんな内容の本かは、作中で春菜が紹介してくれているので、手を伸ばしやすいかもしれませんね。