【あらすじ】
江戸時代、幕府の御用をしながら数学の研究に励んだ男がいた。名前は関孝和。当時、誰も不思議に思わなかった円周率に興味をもって、「本当の値」を探し続けた男の生涯をえがく物語。
【感想】
算数が苦手な人でも、きちんと最後まで興味を持って読めるように書いてあります。また、子ども(小学校中・高学年くらいから)も大人も読みごたえがあるようにしてある。これは並々ならぬことで、作者の力量のすばらしさに感動ました。
江戸時代の侍の子孫の、お仕事や風習、当時の文化などもさりげなく描かれているので、時代ものの初心者でも、楽しんで読めると思います。
この本を読むまで、日本にはこんな偉大な人があったなんて知りませんでした。関孝和は円周率の研究の他にも様々な仕事をしており、例えば、方程式と同じようなもの(傍書法)を作ったりもしているとのことです。実は、当時の最先端の数学者だった!死後、200年以上たってから、世界にその業績が伝わったという…切ない気持ちでいっぱいです。
でも、私生活はあまり楽しいものではなかったのか、ちょっとほろ苦い恋の経験や、彼の死後、家が断絶した話なども語られており、人生は全部はうまくいかないようになっているのだなあ、と感慨にふけりました。
この本は、「やりたいことがなかなかできない」「やりたくない事をやななければならない」と感じているすべての人にお勧めします。読んでいると、自分も苦手なことがたくさんあるけど、どうにか頑張って乗り越えていこうという気持ちが湧いてきます。
算数や数学が好きな人はなおさら楽しめると思いますが、苦手な人もぜひ、チャレンジして読んでみてください。きっと得るものがあります。