【あらすじ】
左利きの少年エディは、文字が書けない。しかし数学に関しては天才的な才能をもっていた。困難な学校生活を送る中、ある日、偶然にも発明王のベルさんと出会う。そしてヘレンケラーとも出会い、少年は自分のできる事とできない事に真剣に向かい合う。彼は数学を応用し、滑車をつかって、誰もがお手上げだった畑の岩を動かし、だんだんと周囲の人に認められていく。
歴史的事実をもとにした、心温まる物語。
【感想】
電話を発明したことで有名なグラハム・ベルが、障害者の支援もしていたことを初めて知りました。左利きも、学習障害も、全く理解のない時代を生き抜き、困難と立ち向かい、才能を開いていく少年の姿は感動ものです。
親兄弟にも理解されず、学校では愚か者扱いされ、全く希望されなかった人たちの苦しみが伝わってきて、涙が出る場面もありました。ちょっと前には、左利きを無理やり「治す」ことが、日本でも、私の身近な場所でもまかり通っていました。障害や個人の特性にたいする無理解が、どれだけ本人の心を傷つけるか、将来有望な若者の人生を台無しにするか…そんなことも、この物語を読んでいて考えされされました。
登場人物の心の動きがよく描かれていて、その場面にいるような感じがしました。
文字と音を結びづけて、文字を書くことが困難な状況が、よくわかりました。
もし、私がこのような学習障害(ディスレクシア)であったら…物語を通して、自分とは違う特性を持った人の苦しみを知ることができ、考える事ができました。
年齢を問わず、いろんな人に読んでもらいたい一冊です。
そして、できることなら、この本に描かれている「理解のある人」のように、自分もいろいろな困難を抱えている人たちを理解できるようになりたいと思いました。