「泣いた赤鬼」を筆頭に人間と仲良くしたい、でもその風貌で忌み嫌われてしまう鬼の話は多いです。泣いた赤鬼の場合は、友達(友情)と引き替えに村人と仲良くなれるという代償がありますが、島ひきおにの場合は何もない。あまりにも素直な鬼に同情せずにはいられません。それにしても人間の仕打ちはむごい。この怒りは、どこにぶつけたらよいのでしょう!そんな作品です。
鬼はどの村からも追い出され、ついに大海原に繰り出します。何年も歩き続け、やがて島は消え体も痩せ細ってしまいます。「南へ行けば鬼と人間が暮らせる所がある」と言う言葉のみが彼のエネルギーなのです。
このようにハッピーエンドでないお話も子供には必要だと思います。5才の息子は無表情でした。『また読んで』とも言いませんでしたが、いつか『読んで』と言うことを期待しています。その時はまた私が読んであげるつもりです。そんな気持ちにさせる作品でもあります。
さて、会話の端々が気になり調べてみたら、なんと広島県の敷島がモデルなのだそうです。どおりで聞き覚えのある言葉!(広島弁)