主人公の香菜はたぶん場面緘黙(今はこの呼び方しないのかも)。けれど、それでも、自分のことを肯定して、毎日、学校生活を楽しんでいる。これがとってもいい! 無口でしゃべらない子が心のなかで、いろんなことをいろんな視点から、深く深く考えている。そうまるで名探偵みたいです。自分も小さいころそうだったなあと思うし、ひとり自分のなかで推理し、納得し、満足し、楽しんでいるところがいい。そして、クラスのみんながとてもいいのですね。自然体で文句言ったり、頼ったり。乱暴な男の子が最後のあたりで、「10年分話したんだぞ!」という台詞には、笑いながらでもついつい泣いてしまいました。好きな作家さん佐藤さとるさんの本も出てきて、ちょっとなにこれ〜と思いました。