表紙のアザラシの独白でお話が続きます。
大海の中にポツンとある岩。
そこに、小さなボートでやってきた釣り人のおじさんがいるというのです。
そして、おじさんとのまったりとしたひととき。
「もぐっているのでみえません」って、ぶっきらぼうですが、
『星の王子さま』での飛行士と王子さまの感性にも似ていて、
素敵な余韻でした。
このところどぎつい配色の長新太作品を立て続けに読んでいたので、
青が基調の配色は新鮮でした。
海がずっと穏やかなのに対して、空の色が段々移り変わって、
遠くのかもめの位置が刻々と移動していますね。
もしかしてラストの光景に浮かんだ幻影だったのかしら?とも思ってしまいました。
ともあれ、大海のまったりした雰囲気を味わいたいですね。