地震と津波で壊滅的な被害を受けた村が舞台です。
まだ東日本大震災の記憶が生々しいだけに心に響きます。
海辺の村に住むおじいは絵を描いてばかりでしたが、
その絵がみんなを元気付けるので、皆に慕われていたのです。
ある日、大地震とともに、海に異変が。
津波の復興の中で、おじいの描いたなまずの絵が、奇跡を起こします。
染色図案科出身の田島さんの独特の画法が持つ迫力がすごいです。
紙が無く、おじいがふんどしに描いた、というストーリーと呼応します。
『祇園祭』とともに、世界絵本原画展金牌受賞作品だそう。
立派な侍には用は無い、と、常に庶民の中に生きたおじい。
ラストでは復興の様子が描かれていて、どうか同じように、
被災地に希望の光があたりますように、と祈らずに入られませんでした。
地味な絵ですが、やはり子どもたちに紹介してあげたいです。