副題に「ジェンダーとゆうじょうについてのやさしいおはなし」とあるように“ジェンダー”について語られている絵本です。
昨今では日本国内でもかなりジェンダー・フリーな考え方が浸透してきたように思います。
本作では、くまの子「トーマス」が見た目は男の子だったけれども、実は心は女の子なんだと、友だちに打ち明けるところから始まります。
絵がソフトでとても可愛いので、このようなカミングアウトのシーンも打ち明けられた友だちエロールのようにすんなり納得できるものがありました。
「だいじなのは きみが ぼくの ともだちだってことさ」と、エロールがいってくれて、トーマスは喜びます。
これって、ジェンダー・フリーなことに限らず、人と人が一緒に生きていく上でとっても大切なことですよね。
なので、テーマとして語られている「ジェンダー」についての本としてだけでなく、人はいろいろな人間を認め合ったり支えあったりして生きていくんだということを伝えている作品としても紹介できそうです。
この作品は作者自身が自分自身の(養子にした)息子に、多様な家族の在り方を伝えるために自費出版されたものだそうです。
作者自身の考え方や境遇については、あとがきとして載せられている解説の中田せらさんの文章を読んでもらえると、よくわかります。