「さいた さいた チューリップの花が/ならんだ ならんだ 赤 白 黄色/どの花みても きれいだな」
きっと誰もが歌える童謡「チューリップ」ですが、この童謡が出来たのは昭和7年(1932年)だそうですから、今生きているほとんどの日本人が歌ってきたのではないでしょうか。
作詞したのは近藤宮子さんという女性で、この人は「こいのぼり」の歌詞も書いています。
昭和7年といえば戦争の兆しが近づいていた頃で、そんな時代にこのような色鮮やかな童謡が出来たなんて信じられません。
この童謡のおかげで、どんなに春が楽しいものになっていることでしょう。
この絵本はそんな誰もが好きなチューリップという花がどんな風に成長し、花を咲かせるかを微細で写実的な絵で説明したものです。
学習絵本といっていいでしょう。
だって、チューリップの球根を植えつけてからそれが土のなかでどんな風になっているのか目にすることはありませんし、球根の断面は見ることは見ることはありません。
きっと作者の荒井真紀さんはかわいい花を見るのを我慢して、いくつかの球根の中を切り開いたのでしょうから。
チューリップの花はひとつの球根に一つだけ花を咲かせるそうです。まさに「世界に一つだけの花」なのです。
しかも、そのかわいい花も一週間ほどの命だとか。
でも、そのあとも次の世代へのための準備をしているそうです。
チューリップはかわいい花ですが、しっかり者でもあります。
この絵本を読むと、やっぱりつい、「さいた さいた チューリップの花が」と口ずさんでいました。