「たねをめぐる いのちたちのおはなし」というサブタイトルが全てを物語っています。種をまき植物を育てるというのは、意識して私たちがやることです。けれど、それだけでなく、自然の営みの中で、風や動物や様々な者が種を運んで、植物が育っていくことに気づかされます。
そのことがとても丁寧に美しく表現されている本です。まず、本文を読んで静かな感動を起こします。あとがきを読んで、またさらに深い感動を起こします。
種はどうして移動して発芽しようとするのかということと、互いに協力しあっていることは人も同じだということ、離れたところで頑張っていると思うことでひとりぼっちと思わずにいられるということを知ります。
絵も文章も控え目な表現ですが、あたえる感動は大きく大好きな絵本になりました。