実は、この絵本を、児童用ではなく、絵本のコーナーで見つけた時には、目を疑いました。
もう20年も前の話になりますか、「ウンタマギルー」という映画を見たことがあります。
沖縄を舞台にした映画で、本土出身の私としては、実に目に鮮やかで、エキセントリックな映画でした。
幻想的なんですが、多少政治のお話も入るし、ちょっとこれは子どもにはまずいのでは、と思うシーンもあったのでびっくりしましたが、
元々は沖縄地方に伝わる伝承物語なのですね。
味があり、大変面白く読ませていただきました。
主人公の運玉義留(うんたまぎるー)をめぐる、実に幻想的な物語です。
彼は、恋した美しい娘のマレーが、本当は年老いた豚である事を知ってしまいます。
真実を知ったギルーは、マレーの父(飼い主?)である製糖工場の親方に追われ、神の森であるウンタマ森に逃げます。
森に住む、ガジュマルの妖怪、キジムナーは、彼に空中浮遊の術を教え、彼はその事を利用して、金持ちから金品を盗み、施しを与える義賊となるのです。
沖縄の伝承なのですが、これが奇妙で、実に魅力的です。
ただ、ハッピーエンドなんだか、アンハッピーエンドなんだかよく分からないので、
この味が分かるような頃のお子さんでないと、読むのに苦労するかもしれません。
(普通に考えればアンハッピーエンドなのかもしれませんが、多少頭が重いけど、これでもいっさーなんて、ギルーは言うかもしれませんので)