シシリー・メアリー・バーカーの名を知らなくても、
この絵をご存知の方は、結構いらっしゃるのではないでしょうか?
自作の詩に、絵を添えた「花の妖精」シリーズが有名ですが、
それよりも日本人に広く名を知らしめたのは、
某製菓メーカーのチョコレートのおまけとして入っていた、フラワーフェアリーカードです。
何を隠そう、その昔私も、このカード欲しさにチョコを食べまくり、
虫歯をたんとこさえました。
彼女の繊細で細密な少女や動物、花たちの絵は、読み手を物語に、ぐっと引き込む力があります。
この本は児童書なのですが、1938年に出版されており、読むと昔懐かしい香りがします。
善良な、正しい心を持つ可憐な少女は、
船のりの父と離れてくらすことになります。
けれど、少女の世話を頼まれた女性は、なんとも欲深な人間。
彼女に虐げられ、少女は着るものもままなりません。
けれど、その昔、少女の父が助けた白鳥が、彼女を救いにあらわれます。
…ね、なんだか懐かしい響きじゃありませんか?
いまどきの児童書には、あまりないテイストかもしれません。
でもついつい先を急ぐように読んでしまうのですよね。
ああ、善良な女の子がこんなひどい目にあうなんて、ぜったいイヤだわ、とつい、昔にもどって、あっという間に読んでしまいました。
バーカーの挿絵、本当にしみじみと魅せられてしまいます。
少女スーザンは、純粋無垢で、まるっきり妖精そのものです。
ああ、あのチョコのカード、どうしてとっておかなかったんだろう。
今頃私は後悔しているのでした…。