神様にいけにえを差し出して、災厄を逃れる。
けれど”神”は実は化け物だった・・・ という昔話は時々あるので、昔から民話としてはよくある出だしなのだろうと思います。
大抵の場合は、訪れた僧や侍が化け物退治に挑むのですが、この作品の場合、弁存というお坊さんはその実態を物陰から見るだけで精一杯で、いけにえである娘は喰われてしまいます。
そこがとても残酷で辛い。
けれど化け物達が唄っていた中に出てきた「はやたろう」を一生懸命探し続けます。
その様子がやはり修行を続ける僧の姿らしくあり、安寧を願う気持ちを強く感じます。
光前寺の和尚さんは弁存から話を聞いた時、きっと「はやたろう」の運命を見極めていたことと思います。
けれども「はやたろう」を送り出し、「はやたろう」も自分のすべきことを成し遂げ、和尚さんの元へと帰っていきます。
その絆が、化け物退治との対比となり、この物語をより深いものとしているのではないかと感じました。