お母さんカンガルーのケイティは、ポケットがないことを悩んでいました。子どものフレディは小さな足でいつもお母さんのあとをついていくしかありません。そこで、知り合いの他の動物たちがどんな風に子育てをしているか聞いてみることにしました。が、ケイティが取り入れられるような方法は見つかりませんでした。ケイティは、一縷の望みをかけて、物知りフクロウのもとを訪ねます…。
『ひとまねこざる』でおなじみのH.A.レイさんの絵ということもあり、安心して物語に入っていくことができました。お母さんの悲しみに同調する子ども。しかし前向きな気持ちを忘れない親子。心の中で“がんばれ”と声をかけながら読みました。エプロンはもちろん、エプロンをくれた男の人の、なんて素敵なこと! エプロンをつけたケイティがフルスピードで森に帰るシーンでは、ケイティの喜びが絵本を飛び出して伝わってきたようで思わず笑ってしまいました。ポケットがないというハンディを見事に克服したケイティ親子の姿を通じ、ハンディや障害というテーマをさりげなく伝えているのもいいですね。