大きなイチョウの木と小さなサザンカの木のお話。おじいちゃんと孫のような会話で、静かに、静かに、お話は進んでいきます。ゆったりとした時間の流れの中でも、着実に季節は移り変わっていき、おじいちゃんの木が、葉っぱの変化を通して様々なことを教えてくれます。秋になって、黄葉したイチョウの葉が、淡いピンクの夕焼けを背に、金色に輝いている絵を見て、娘も「わあ!」と感嘆の声を上げました。そして、真冬のある日、小さな木にも、何か素敵な変化が起こります。「まだ ひ・み・つ。うふふ」と、いかにも子どもらしい秘め事をサザンカと共有しているかのように、楽しそうに読みながら、小さなつぼみにそっと触れていました。「どうして冬にお花が咲くの?」「どうしておじいちゃんは春まで眠ってるの?」と、いろんな質問を私に投げかけながら、1ページ1ページ丁寧にこの絵本をめくっています。朝起きてすぐに「1回だけ読んで」と持ってきて、お昼寝前に2回、お昼寝から覚めてまた1回、寝る前にも2回と、日に何度となく読んでいるうちに、3日目の朝には、もうすべて覚えて、すらすらと読んでいました。木の気持ちになって、やさしく、語り聞かせるように読んでいる娘の横顔に、私のせかせかした心もいつのまにか穏やかになっていくのを感じます。