「おおきなもののすきなおうさま」。題名を見ただけで、大人にはなんだか教訓めいた結末が待っていることを連想させますが、冒頭から、「やねよりも たかいべっどで おめざめになると、ぷーるのようなせんめんきでかおをあらい…」と、「おおきなもの」の描写が続き、子どもたちは一気にお話の世界に引き込まれます。
挿絵を見ているだけでも、とっても楽しいんです。おうさまのばかばかしいわがままをかなえるため、大真面目な顔でおつかえしているけらいたち。でも、不思議と「おうさまって、なんて人なの!?」と思えないのは、おうさまのすることには徹底して敬語が使われ、まわりのけらいが一生懸命知恵をしぼり、おうさまの願いを聞き入れてあげようとしているからです。きっと、憎めない人柄なのでしょう。でも、小さなこどもの本に否定的な言葉が出てこないのは、ほっと安心できます。
「自然だけはおうさまの思うようにならなかった。」というオチはとてもあっけない終わりかたで、小さな子どもには理解は難しいかもしれませんが…。年齢によって、面白いと感じるところが違うかもしれませんね。