原題の『THE MAN』が、林望氏の訳で『おぢさん』に。
「おぢさん」はとても小さい。
でも魔法を使う小人や空を飛ぶ妖精ではない。
わがままで、ずうずうしく、いびきもかけば体臭も。
そして自分一人では生きていけないのですね。
「おぢさん」サイズの生活用品も洋服も一切ないのだから。
お金を稼ぎに行くこともできないし、一人でトイレも困難。
そんな「おぢさん」と少年が一緒に生活した4日間のお話。
人間性と人間性のぶつかり合いが繰り広げられます。
一見ファンタジーかと思いきや、
『スノーマン』とは全く違う世界です。
リアルな人間模様と生活感、感情の行き違い、
そして異質なものを受け入れることの困難。
人間は一人一人みな違う・・・という観点でいえば、
本当にわかりあう、共に生きていくということの困難さを、
現実的に描いていて色々と考えさせられました。
きれい事でない、ありのままの現実を子どもにも示す、
というスタンスなんだろうと感じました。
たとえ「おぢさん」ほど保護と世話が必要でなくとも、
家族と暮らすということでさえ、
この「おぢさん」と暮らすこととあまり変わらないと思います。