田辺聖子さんの文章が光る絵本です。
帝との交流や、最後の不死の薬・富士山の煙のくだりまできちんと書いてあり、内容的には一番充実した絵本です。
ただきっしり詰まった内容にページ数が追いつかず、最後がバタバタしてしまった感があります。
せめてあと1ページあれば、もっとじっくり味わえたような気がします。
絵は、織田観潮さんほど格調高さはないものの、それでも十分にかぐやひめの世界を描きこんでいます。
「かぐやひめ」って改めて読んでみると、面白さがギッシリ詰まったお話ですね。
いくら結婚できないとはいえ、5人の求婚者に無理難題を言ったりして、昔話のお姫様にしては、かぐや姫は結構自己主張しているのです。
おじいさん、おばあさんと別れるのが寂しいと泣いていたのに、天の衣を着ると、地上のことをあっけなく忘れてしまったり。
かぐや姫は切り替えが早いのに、地上に残された人たちはいつまでも忘れられずにしんみりしているところが、どことなく可笑しいですね。