寂しげな表紙絵が目に留まり、手に取ってみました。
父と娘が仲良くお出掛けかと思いきや、なぜか別れのシーンから始まります。
いつまでも待ち続ける少女。
二度と帰ってこなかった父。
一度読んだだけでは理解できず、2回、3回と読み返しているうちに、
やっと気付かされました。
「それじゃな」「・・・・・・うん」とお互いが納得しているかのように別れた父娘。
この場面は、変えることの出来ない運命で父と死別する場面だったんですね。
どんなに年老いても、父の存在を忘れなかった父。
そして年老いた娘もまた、父と別れたあの土手へ・・・
この絵本には、「別れからはじまる 小さなものがたり」というキャッチがついていますが、
子にとっては親との別れは、決して小さな物語ではないはず。
ただ、別れたら終わるんじゃなくて、始まるんだという逆転の発想は、
素晴らしいと思います。
たとえ親が亡くなったとしても、子は生きて行かなくてはなりませんから。
子どもが読んだら、「なんで?どうして?」の質問責めにあいそう。
じっくり読める大人向けの絵本かなと思います。