月夜に、子どもたちがお祭りに向かっています。一番小さい文六ちゃんは、下駄屋さんで新しい下駄を買いました。それを見て一人のおばあさんが「晩げに新しい下駄をおろすと狐がつくだに」と言うのを聞いて、子どもたちはちょっとだけ怖くなりました。お祭りからの帰り道、文六ちゃんが「コン」と咳をしました。すると…。
狐がつくってどういうことだろう? 得体の知れないものへの恐怖を募らせる子どもたちの心の変化と、狐がついたと間違われた文六ちゃんの孤独な気持ちが、巧みに描かれています。そして、文六ちゃんの不安で不安で仕方ない気持ちをまるごと全部受け止めるお母さんの大きさと温かさに涙が出そうになりました。『ごんぎつね』『手ぶくろを買いに』でもそうですが、母子ものをこんな風に情緒豊かに書ける、新美さんという方は本当にすごい方だなーと、心底思いました。長野さんの挿絵も味があって、このお話にぴったりです。
少し古い時代のお話で、言い回しの少々難しいところもありますが、子どもはよく聞きます。うちの息子もとても気に入ったようで、(最近絵本ナビに投稿しているのを知っていて)「星5つ!」と言ってました。(笑)