SNSの流行によって、昔以上に外見に支配されることを強いられてしまう現代社会。
そんな今を生きる子供たちに向けた強いメッセージを感じる作品です。
私には幼い頃、義足の祖父がいました。
漁師だった祖父は、漁から帰ると玄関で靴の様に豪快に義足を外すので、当時の私は「おじいちゃんはロボットなんだ!かっこいい!」と、無知故の羨望の眼差しで祖父を見ていました。
一方、小学生の頃、近所に子供から「白黒おじさん」と呼ばれている男性がいました。
外見の特徴からそう呼ばれていたのですが、これも子供だから、無知だからだったのでしょうか?
今の私はそうではないと考えています。
その男性の気持ちを推し量ることはできなくても、「自分が外見のことを言われたら嫌だ」ということくらいわかっていたはずなのです。
最初は自己中心的なところがあったナッスが、
試練の中で、「傷つくことを知っていることの強さ」を学び、終盤、自らを犠牲にして仲間を守ろうとする姿は、まさにヒーローだと思います。
多様性を受け入れることの大切さを、「かっこよさ」として描く本作のアプローチは、きっと子供たちにも素直に受け入れられるのではと感じました。
かつての私が、祖父を見ていた時の目と、おじさんを見ていた時の目。
その間に、何によって歪んだ価値観が形成されてしまったのかは、今となってはわかりません。
ですが今回、姪っ子へのプレゼントをきっかけに本作を読んだことで、過去の出来事を思い出し、改めて自分の価値観を考えさせられるきっかけになりました。
子供も大人も楽しめる良作です!